【旅行のプロが選ぶ 死ぬまでに絶対行きたい世界遺産100】56.アテネのアクロポリス(ギリシャ)
夜、アテネに着き、光に照られて夜空に浮かぶ『パルテノン神殿』を見上げた時の感動は言葉で言い表すことはできません。
神殿群が建つ『アクロポリス』は、高さ70メートルの岩山の上に築かれ、天空に浮かぶがごとく。街のどこからでもみることができるアテネのシンボルでもあります。
ギリシャのもっとも有名な観光地のひとつにあげられる、アテネの『アクロポリス』は5,000年の歴史を持つ遺跡です。ギリシャ文明のシンボルになっているアクロポリスは「アクロス」(高い場所)と「ポリス」(都市)からなる名前で、ギリシャが複数の都市国家に分裂されていた時代(紀元前8世紀~2世紀)に栄えました。他にも丘の上に建てられた都市国家はあったものの、強大な政治・経済・軍事力を有していたアテネのアクロポリスはその中でも最も発展したものであったとみられています。
現存するアクロポリス内の建造物の中で、よく知られているのは次の3カ所です。
≪パルテノン神殿≫
パルテノン神殿は、紀元前480年に建てられたドリス式の神殿。高さ10.4メートル、直径1.9メートルの桃薄色を帯びた50本の大理石柱を美しく見せるため、円柱の中央にわずかなふくらみをもたせた、古代ギリシャ建築の最高傑作です。
展望台からは市街が一望できるので、必ず足を運んでくださいね。
≪エレクティオン≫
アクロポリスの北側にある神殿。ここで主に祀られている神は「ポセイドン」、「アテナ」、そしてアテナの息子とされたアテネ市国の神話的な王「エリクトニオス」です。
神殿内には神聖な蛇が生息し、アテネの安全を守っていると信じられていました。こうした蛇への信仰は、現代のギリシャにも残っています
エレクティオンでもっとも有名なのは屋根を支える、カリアティード(=少女の姿がかたどられた6本の柱)です。現在、この地にある柱は複製で、オリジナルは「アクロポリス博物館」(アテネ・ギリシャ)と「大英博物館」(ロンドン・イギリス)に所蔵されています。
≪ディオニソスの劇場≫
ディオニソス(バッカス)はワインと演劇の神であったため、このギリシャの最古の劇場にはその名前が冠されています。約15,000人が収容できるこの劇場は、アクロポリスの南側にあります。5世紀に活動した古代ギリシャの三大悲劇詩人(「アイスキュロス」「ソフォクレス」「エウリピデス」)と最大の喜劇詩人である「アリストファネス」の戯曲のほとんどは、このディオニソスの劇場で上演されるために書かれたと言われています。