アメリカ・ニューメキシコ州タオス（Taos）市。
乾燥地帯のこの一帯は芸術家や神秘家、
ちょっとユニークな人々が集まることで知られています。
彼らにとって、ここは自らの内面と向き合い、
理想の暮らしを営むための場所とされているのです。

地球にやさしい未来の棲み家

こんな予備知識があれば、リオ・グランデ峡谷にかかる
鉄橋の一端に突然現れたこの近代的な建物を見ても
驚くことはありません。

建物の名前は『アースシップ』（Earthship）。
ここは観光ホテルではなく、「共同体」です。

建物の半分は地中に埋まり、全体がモグラ塚のように
でこぼことうねっています。
地表から出ているのは奇妙な形の屋根だけで、
ガラスが太陽にきらきらと輝いています。
『アースシップ』（Earthship）の世界本部です。

サルビアの茂みに囲まれて、ここには60のアースシップが
点在しています。

案内所で予約したアースシップ（部屋）までの
行き方を教えてもらい、通路を進んでいきます。
通路はくねくねと迷路のようで、進むうちに不思議な
気分になってきます。
だって、こんな建物は見たことがないのですから・・・

宿泊施設となっている部屋のひとつは、まだ建造中。
誤って予約が入ってしまったのでしょうか？

いいえ、この部屋のセールスポイントのひとつは
「建設中」であることなのです。
環境保護や節約に熱心で、アースシップの造り方に
興味津々な人たちのための、いわば「モデルハウス」です。
必要なエネルギーを自給自足でまかなうアースシップは、
ランニングコストも安いのです。