必見!世界のとっておき【可笑しなホテル20軒】14. パイナップルの宿 ~The Pineapple・スコットランド~
今回ご紹介するホテルは、
スコットランドのスターリング(Stirling)から
南東に11キロメートル行ったところにあります。
その名もずばり『The Pineapple』(パイナップルの宿)!
名前の由来は、外観を見ればわかりますよね。
ユーモアあふれる石の芸術
重厚な鉄の門扉を開けるとまっすぐな道がのび、
その先に緑の草原が広がっています。
左右対称に配置された木々と、手入れの行き届いた芝生。
“石の芸術“は、この美しい庭園の中央にそびえています。
濃い緑の森に囲まれ、長い年月を耐えて
古びた高壁に守られて、巨大な石のパイナップルが鎮座しているのです。
どこから見ても本物そっくりの精巧な造りは、
「見事!」の一言に尽きます。
圧倒される存在感にはやり過ぎの感も漂いますが、
そこはかとないユーモアが嫌味を打ち消しています。
上流階級にだけに許された、贅沢な道楽としての建築です。
パイナップルは地位の象徴だった!
この建物は、1776年に帰国したバージニア植民地(現在のアメリカ)総督、
ダンモア伯ジョン・マレー4世によって造られました。
当時のイギリスではパイナップルは珍しく、地位の象徴とされていました。
マレー卿は大きな温室を作ってパイナップルを育て、北国のスコットランドに
ありながら、月に2度、友人たちに穫れたての貴重な果物を贈ったそうです。
温暖なバージニアでは、パイナップルは日常的に食べられていました。
また水兵たちが任務から帰ると、家の入口にパイナップルを置いて、
帰還を祝う習わしがあったといいます。
おそらくマレー卿は、この慣習が気に入っていたのでしょう。
故郷に戻った彼は、生のパイナップルではなく、
高さ50メートルの巨大な石のパイナップルでお客様をもてなしました。
細部まで洗練されたデザイン!
1973年から建物は、
「ランドマーク・トラスト」(The Landmark Trust)
(建造物保存を目的とする慈善団体)が管理し、
現在は貸別荘として利用されています。