【一度は行きたい!心ひかれる日本の絶景 50】22. 日本版 冬のハロウィン(上山市・山形県)
一夜だけ咲く幻の花!
からかさ小僧のような奇妙な集団は、「カッカッカーのカッカッカー!」
と奇声をあげながら練り歩きます。
350年の歴史を誇る『奇習 カセ鳥』という伝統行事で、毎年2月に山形県上山市で行われるものです。
応募参加型のお祭りで、一度はカセ鳥をやってみたいと全国から勇者が集まってきます。
「ケンダイ」という藁帽子をかぶり、ミノムシのような出立ちの中身は、サラシでぐるぐる巻きにされています。
とはいえ、その時期の山形は氷点下。
さらに、沿道からは容赦なく水を掛けてきます!
顔はもうツララだか、鼻水だか、涙なんだかわからなくなるそう。
そりゃそうですよね。
でも、ふしぎなことにカゼはひかないのだそうです。
『カセ鳥』という名前は、「稼ぎ鳥」または「火勢鳥」に由来し、
商売繁盛や五穀豊穣を祈る、上山伝統の民族行事で、江戸時代初期から伝わるものです。
「ケンダイ」と呼ばれる藁蓑を身にまとい、妖怪「カセ鳥」に扮した若者たちが
上山城前のたき火を囲んで、「カッカッカーのカッカッカー!」と歌いながら踊り回り始めると
お祭りの始まりです。
カセ鳥たちは、見ている人たちから冷水を勢いよく浴びせられますが、ひたすら踊り続けます。
その後、カセ鳥たちは上山城から市内へと降りていきますが、街でもさらに踊り続けます。
踊り終えたカセ鳥たちは、住民たちからお酒やご祝儀を振る舞われます。
頭に手拭をくくりつけられることもありますが、これは商売繁盛のおなじないとされています。
極寒の中、カケ鳥たちに水をかけるのは、水商売の繁盛を祈る意味もあるといわれています。
この『奇習 カセ鳥』、1896年以降は途絶えていたのですが、
上山市でこの行事を復活させようと活動が始まり、1959年に再現されました。
その後、カセ鳥保存会が結成され、現在に至っているんだそうです。
また、昔は上山市だけでなく、日本全国で小正月に蓑をかぶった人が家々を訪ね歩き、
カセ鳥と同じように「カッカッカ」と鳴いてご祝儀をもらうという風習があったといわれています。
これは、秋田県の民族行事として知られている「なまはげ」などとも似たところがありますね。
また、祭日に変わった姿の人が現れるという点では、ハロウィンと共通していると指摘されることもあるそうです。
この「奇習 カセ鳥」を見学し、勢いよく水をかけてみませんか。
ぜひ、山形県上山市を訪れてみてください。
★『カセ鳥』の正式名称、開催時期・時間、電話番号、公式ホームページなど
- 正式名称:上山市民俗行事 奇習 「加勢鳥(かせどり)」
- 住所:山形県上山市
- アクセス:祈願式が開催される上山城まで、JRかみのやま温泉駅から徒歩約10分
- 開催時期:毎年2月11日
- 開催時間:午前10時~午後3時30分
- 開催場所:上山城~上山市内(中心市街地や温泉街を練り歩きます)
- 電話番号:023-672-0839((一社)上山市観光物産協会)
- 公式ホームページ:上山市民俗行事 奇習 「加勢鳥(かせどり)」 (上山市観光物産協会)