150年以上も前に逆サイホンの原理!
『通潤橋』(つうじゅんきょう)ほど有名で、
しかもみんなから敬意をもって親しまれている橋は、他にはないのではないでしょうか。
ツツジ咲く新緑が萌える橋の上からは、みんなの笑顔でいっぱいです。
向こうにはこの橋を架けた、惣庄屋布田保之助が現場小屋にしていた茅葺き屋根も見えます。
幅63メートルの橋の上は、真ん中の水路は飲用のためのものだといいます。
幕末当時でありながら、逆サイホンの原理を応用した高い技術は、世界でも類がありません。
保之助をディレクターとすると、工事は種山石工集団の丈八を中心にしたプロジェクトチームです。
丈八とは、のちの橋本勘五郎で、零台橋や東京の万世橋などを手がけた石橋の名工です。
『通潤橋』は、嘉永7年(1854年)、当時水不足に悩んでいた白糸台地に水を送るため、
先に紹介した「惣庄屋布田保之助」が全力を傾けて造った日本最大級の石造アーチ水路橋です。
この橋は、高さ約20メートル、橋上の幅6.3メートル、アーチの水路28.18メートルで、
中央には飲用と灌漑用の3本の水道が通っています。
この橋に応用されている「逆サイホンの原理」とは、
一方の高いところに取水口を設け、平坦な橋を通り、その勢いで
対岸の高いところに水を吹き上げるような仕組みになっています。
高度な技術力と、均整のとれた美しさが高く評価され、
昭和35年には国の重要文化財に指定されました。
完成以来、地元の水田に水を送り続けてきましたが、
2016年に発生した熊本大地震で、橋は石が外側にせり出す
「はらみ出し」などの大きな被害が出て漏水してしまいました。
現在は、周辺への立ち入りを禁止し、放水も休止しています。
しかし、復旧工事中の様子を見てもらおうと、
山都町は工事用の足場と活用した板張りの見学台(約5メートルx約9メートル)を
橋の近くに設置しました。
町の担当者は「橋の価値を広く発信したい」と話されているそうです。
この見学所は、修理が終了する2019年3月まで開放される予定です。
復旧工事は今後、橋上部に埋設された通水管を掘り出したり、
水がもれている目地の補修をしたりします。
通潤橋での放水は中止されていますが、
道の駅「通潤橋」(虹の通潤館)は通常営業しています。
通潤橋は、道の駅からも見ることができますので、ぜひお出かけください。
>> 虹の通潤館(道の駅「通潤橋」)の詳細はこちら (なごみ紀行(熊本県観光サイト)
古の技術に圧倒される、通潤橋にぜひ行ってみてください。
★『通潤橋』の住所、行き方・アクセス、公式ホームページなど
- 住所:熊本県上益城郡山都町長原
- アクセス:九州自動車道「御船IC」または「松橋IC」より約45分
- 時間/定休日:特になし(見学自由)
- 料金:無料
- 公式ホームページ:通潤橋(つうじゅんきょう) (山都町観光ナビ)