【旅行のプロが選ぶ 死ぬまでに絶対行きたい世界遺産100】76.黄山(安徽省・中国)
『黄山』(こうざん)は、中国・安徽省(あんきしょう)にある景勝地です。
標高1000メートル以上の奇峰72峰が競うように、雲海の上にそびえ立っています。花崗岩の山々が、氷河や風雨に浸食されて断崖絶壁の奇岩怪石となったものです。
雲海が峰々と1万株の黄山松を包み、漂うその姿は、「名山として知られる五岳(泰山、崋山、嵩山、恒山、衡山)を見た者は他の山など眼中になくなるが、黄山を見た者は五岳さえ物足りなくなる」、または「黄山を見ずして、山を見たというなかれ」といわれる天下一の絶景です。
東山魁夷は、黄山を「充実した無の世界。あらゆる山水画の技法が、そこから生まれたことが分かる」と評しています。
本格的な登山を希望される方は、4万段の石段を、両側が絶壁で最も危険な「フナの背」があり天都(てんと)峰(1810メートル)、「天海」の雲海が圧巻の光明頂(1840メートル)をたどり、8時間ほどかけて登る「前山コース」を進むことになります。
脚力に自信のない方や、8時間もの登山時間がない方など、ほとんどの方は「後山コース」を進まれます。
登山口から30分ほど専用バスに乗り、標高890メートルの「雲谷寺」へ。ここから全長2808メートルの雲谷ロープウェーで「白鵝峰」(はくがほう)までの標高773メートルを、わずか9分で登ります。このコースだと、頂上のホテル群まで短時間で行けてしまいます。
天下の奇観・始信峰(ししんほう)(1668メートル)、北海の雲海と日の出を望める展望台、清涼台、西海の雲海がすばらしく、夕陽の名所でもある「排雲亭」などを散策してください。